現場の状況は現場でないと把握できない? 製造業のリモート監視・操作が困難な背景と対策
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多くの製造現場では古い制御装置が混在。リモートで監視・管理するのは困難か?
デジタル化に向けて対応したいが、既存の機器がまだまだ使える
日本の製造業の多くは、数十年、あるいはそれ以上の歴史を持っており、経験豊富なベテラン従業員たちによって現場業務が支えられています。ですが、ビジネス環境の変化を受け、働き方改革やデジタル化などの取り組みが停滞気味な企業も多いのではないでしょうか。
これらの取り組みを妨げる原因の1つとして考えられるのが、スタンドアロンの設備・装置・機器類の存在です。今なお多くの製造現場では、ネットワークに接続されていないコンピュータ制御の設備や装置があります。完全にアナログ制御の箇所はともかく、電子制御であってもネットワークに接続しないまま稼働させているケースは少なくありません。そのため、稼働状況を確認するにしても、何らかの設定や操作を行うにしても、従業員の誰かが現場に行く必要があります。もし、その一部でも遠隔で行えるようになれば、人員の配置や働き方を変えることができるはずです。また、製造ラインの巡回監視の負担が軽減するなど、業務効率の向上も期待できます。
製造現場における設備や機器の電子制御は一般的に、PLC(シーケンサ)や、FAコンピュータ(産業用PC)などが担っています。また、標準で組込コンピュータ等を内蔵した設備や機器もあります。こういった産業用の電子機器は、一般的なOA機器より故障しにくい設計となっていることもあって長期に渡って使われがちで、しばしば非常に古い時代のものが現役で稼働しているケースも見られます。
ネットワークにつなげることができず、現場で対応するしかない?
このうちPLCは、古い機種ではイーサネットなどのネットワーク接続機能を持たないものも少なくありません。ネットワーク接続用ポートがあったとしても、独自仕様で通信していることもあり、その場合は機器のデータ入出力の仕様に合わせたシステムを用意しなければなりません。どちらにしても、リモートで監視や管理を行うことは困難と言えるでしょう。
一方、FAコンピュータや組込コンピュータでは、オフィス用PCと同じような部品構成で、同じような汎用OSを用いることが一般的ですから、搭載するOSの機能によりイーサネットでの通信にも対応したものが少なくありません。とはいえ、古い機種ではOSも古いバージョンのままですからセキュリティ上の懸念が大きく、そのままネットワークに接続することは避けるべきです。近年では製造業の現場を標的としたサイバー攻撃も確認されており、古いOSをネットワークに接続することは推奨できません。
では、これらを安全にリモートで監視・操作できるようにするには、新しい機器への更新が必要なのでしょうか。
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