「IP-KVM」でユーザーインタフェース用端子をIP化 古い機種でも安全かつリモートでの監視・操作が可能に
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現場の状況は現場でないと把握できない?製造業のリモート監視・操作が困難な背景と対策
多くの製造現場では古い制御装置が混在。リモートで監視・管理するのは困難か?
継続的な改善が必要な製造現場ヒト・モノ・カネのハードルを乗り越えるには?
多くの製造現場では古い制御装置が混在。リモートで監視・管理するのは困難か?
デジタル化に向けて対応したいが、既存の機器がまだまだ使える
FAコンピュータや組込コンピュータのほとんどは、普通のPCと同じようにキーボードやマウス、ディスプレイといったユーザーインタフェース用の端子を持っています。それらは通常、コンピュータ本体からあまり離れていない場所で使う周辺機器のためのものですが、IP-KVM技術を使うことで、遠く離れた場所でも利用できるようになります。
IPとは、インターネットプロトコルの略で、広く使われているネットワーク通信技術です。KVMとは、キーボード、ビデオ、マウスの頭文字をとったものです。この2つを組み合わせたIP-KVMは、画面出力やユーザー操作のインタフェースを、汎用ネットワーク通信に変換して転送する技術を指します。
これらのインタフェースをIP化することで、ネットワーク経由でアクセスし監視・操作できる環境が整います。また、多彩な機種に対応させられるのも特徴です。しかもソフトウェアによるリモートアクセスとは異なり、IP-KVMはネットワーク接続する際にサーバ内のネットワークを使用しないため、セキュリティ上の懸念からネットワークに接続できないような古い機種でも安心してリモート化できます。
実は、KVMを専用ケーブルなどで延長し、遠く離れた場所から操作できるようにする「KVMエクステンダ」や、複数の機器のKVMを接続しておきユーザーが切り替えて操作できる「KVMスイッチ」といった製品が以前からありました。こうした機器が進化し、汎用ネットワークを介して延長・切替を可能にするのがIP-KVMなのです。
IP-KVMをベースにした「Emerald」シリーズ。ニーズに応じてIPネットワークの構成を変更可能
Black Boxでは、 IP-KVMソリューションとして「Emerald」シリーズを展開しています。これは、操作対象に接続する「トランスミッタ」と、操作するユーザー側の周辺機器を接続する「レシーバ」を組み合わせたKVM製品です。
トランスミッタとエクステンダには、それぞれイーサネット用の端子があり、OAネットワークで使う一般的なイーサネットケーブルや、現場の環境に応じた耐熱/耐寒/耐油などの各種耐性を持ったFAネットワーク用ケーブルを接続して利用します。
Emeraldは、トランスミッタとレシーバ間のネットワーク次第で様々な構成が可能。配線だけでなく通信プロトコルもIPネットワークの標準に準拠しているため、そのネットワークの設計・施工もOA/FAネットワークとほぼ同様に行えます。次回は、より具体的な使い方を紹介しましょう。